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肝がん:肝細胞がんのエクソーム塩基配列決定により、新しい変異シグネチャーと治療標的分子の候補を発見

Nature Genetics 47, 5 doi: 10.1038/ng.3252

肝細胞がん(HCC)患者の個別化治療を最適化するためには、腫瘍の特性をよりよく知ることが重要だが、ゲノム解析はそれに有効であると期待されている。243例の肝腫瘍のエクソーム配列決定解析により、アルコール摂取と喫煙、あるいはアフラトキシンB1への曝露といった特定のリスク因子に主に関連する変異シグネチャーを検出した。その結果、変化が頻発する11の分子経路に関連した161個の候補ドライバー遺伝子を同定した。変異との関連をもとに、リスク因子に関与する3つの遺伝子群を定義し、それぞれの中心にはCTNNB1(アルコール摂取)、TP53(B型肝炎ウイルス:HBV)、AXIN1が位置した。腫瘍のステージによる分析では、初期のイベントとしてTERTプロモーターの変異が見られた。FGF3FGF4FGF19CCND1の増幅、およびTP53CDKN2Aの変異は、進行性腫瘍の進んだステージで出現した。28%の腫瘍には、米国食品医薬品局(FDA)承認の治療薬の標的となる可能性のある遺伝的変異を見つけた。結論として、我々はリスク因子特異的な変異シグネチャーを見つけるとともに、HCCで変異している遺伝子や分子経路の詳細な全体像を得ることができた。これは、個別化標的治療のための臨床試験をデザインする上で非常に有用である。

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