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白血病:MLL再構成型の乳児急性リンパ性白血病における体細胞変異の実体

Nature Genetics 47, 4 doi: 10.1038/ng.3230

乳児期に発症する急性リンパ性白血病(ALL)のうちMLL再構成(MLL-R)が見られる症例は、他のALLと異なっており、予後が不良のタイプである。このタイプに見られる変異の全容を明らかにするため、ALLを罹患する65人の乳児(MLL-Rあり47人、MLL-Rなし18人)と、20人の小児(MLL-Rあり)に対して、全ゲノム、エキソーム、RNA、標的DNAの塩基配列決定を行った。この配列データから明らかになったのは、これまでに塩基配列が決定されたがんの中で、乳児MLL-R型ALLの体細胞変異の頻度は最も低いものの1つであり、主要な白血病クローンに含まれる非サイレント変異の数は平均1.3個だったことである。変異数が少ないにもかかわらず、チロシンキナーゼ-PI3K-RASシグナル伝達経路の構成因子に見られる活性化型変異が47%の患者で見つかった。驚くべきことにこれらの変異は、一部のクローンにのみ含まれていることが多く、再発の際にはしばしば失われていた。乳児時発症の場合とは異なり、小児のMLL-R型ALLではもう少し多くの変異が生じていた(患者あたりの平均変異個数が、上記1.3個に対し、6.5個。P=7.15 × 10−5)。また、小児のMLL-R型ALLで変異しているのはしばしばエピジェネティックな調節因子の遺伝子で(患者の45%に見られる)、これらの遺伝子群は、MLLを除き、乳児MLL-R型ALLではほとんど変異が見られないものである。

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