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菌根:菌根の共生種における分解機構の収斂的な喪失と共生遺伝子の急速なターンオーバー

Nature Genetics 47, 4 doi: 10.1038/ng.3223

菌根のライフスタイルの進化についての遺伝的な基盤を明らかにするべく、13の外生菌根(ECM)、ラン(ORM)、エリコイド菌根(ERM)をはじめとする新しい菌類ゲノム、および5つの腐生生物についての塩基配列決定を行い、他の菌類ゲノムと共に解析を行った。外生菌根菌は、祖先である木材分解生物と比較して、植物細胞壁分解酵素(PCWDE)をコードする遺伝子の総数を減らしている。それでもなお外生菌根菌は独自に一連の植物体細胞壁分解酵素を保っており、このことからリグノセルロースを分解する多様な能力を有していることが示唆される。オーソログでないが、機能的には似ている種類の遺伝子が、共生によって誘導されている。誘導される遺伝子のうち、7〜38%がオーファン遺伝子であり、たとえば分泌型のエフェクター様タンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。菌根の菌体内での習性の収斂進化は、植物体細胞壁分解酵素や系統特有の一連の菌根が誘導する遺伝子の数の減少を伴うような「共生ツールキット」の反復進化を通じて起きたものである。

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