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宿主指向性:自然に生じた一塩基変異が病原菌の宿主指向性を変化させる

Nature Genetics 47, 4 doi: 10.1038/ng.3219

宿主指向性を変化させる微生物病原体の能力は、別個の種の宿主集団に流行を引き起こすため、世界的な公衆衛生上および獣医学上の問題となっている。宿主として扱いやすい種において細菌の宿主スイッチング事象の分子基盤を調べるために、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のウサギに感染可能な一般的クローンについて、進化の軌跡を追跡した。本論文では、このクローンは40年以上前にヒトからウサギへの宿主ジャンプと考えられる事象により進化したこと、また、自然に生じた一塩基変異だけでヒト特異的な黄色ブドウ球菌株からウサギに感染できる菌株への変換に必要かつ十分であったことを報告する。別個のクローン起源を持つ他のウサギ株において、同じ座位に同様の変異が同定されたことから、これは収斂進化とみなせる。これは、微生物の進化の過程でその宿主指向性を変化させるのに十分な一塩基変異についての最初の報告であり、新しい種の宿主集団に容易に拡大する一部の病原体の能力を浮き彫りにしている。

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