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糖尿病:詳細な遺伝的マッピングとゲノム注釈付けから2型糖尿病感受性座位で原因となる機構を明らかにする

Nature Genetics 47, 12 doi: 10.1038/ng.3437

我々は2型糖尿病(T2D)との関連が確立された39座位について、ヨーロッパ系の症例27,206例と対照57,574例において、詳細なマッピングを行った。これらの座位に関連する相異なるシグナル49個を同定し、その中にはKCNQ1内あるいはその近傍に位置するシグナルが5個含まれていた。各シグナルをもたらす可能性が最も高いバリアントを集めた「信頼できるセット」は、主に非コード配列に位置決定されたことから、T2Dとの関連は遺伝子調節を介するものと考えられた。この信頼できるセットのバリアントが存在する位置は、ヒトの膵島および肝臓の細胞でクロマチン免疫沈降によるFOXA2の結合部位と重なり合うことが多かった。この中にはMTNR1Bが含まれ、詳細なマッピングによりrs10830963がT2Dとの関連をもたらすと考えられた。このSNPに対応するT2Dリスク対立遺伝子は、膵島や肝臓に由来する細胞においてFOXA2が結合するエンハンサー活性を増強することが確認された。これらの対立遺伝子には、膵島由来細胞でNEUROD1結合に差異のあることが観察され、これはT2Dリスク対立遺伝子が膵島のMTNR1B発現を上昇させるという証拠と一致する。我々の研究は、遺伝学的情報およびゲノム情報の統合により、関連シグナルの原因となるバリアントが疾患に影響を及ぼす分子機構を明らかにできる仕組みを実証している。

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