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リンパ腫:バーキットリンパ腫および濾胞性リンパ腫におけるDNAメチローム解析から体細胞変異と転写制御に関連したメチル化に差のある領域が同定される

Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3413

バーキットリンパ腫と濾胞性リンパ腫はともに胚中心B細胞の持つ特徴を示すが、両疾患は生物学的にも臨床的にも全く別個のものである。本論文では、13のIG-MYC転座陽性バーキットリンパ腫検体、9のBCL2転座陽性濾胞性リンパ腫検体および4の正常胚中心B細胞検体において、全ゲノムバイサルファイト処理塩基配列決定、ゲノムおよびトランスクリプトームの塩基配列決定を行った。バーキットリンパ腫と濾胞性リンパ腫の検体の比較から、それらに関連する遺伝子の発現と強く相関する遺伝子内領域でメチル化に差のあることが分かった。例えば、胚中心の暗領域B細胞および明領域B細胞で活性化している遺伝子に両リンパ腫間でメチル化に差が見られた。バーキットリンパ腫と濾胞性リンパ腫におけるメチル化に差のある領域の統合経路解析から、バーキットリンパ腫の大部分では、DNAメチル化は、スフィンゴシンリン酸シグナル伝達の体細胞変異に加え、TCF3-ID3やSWI/SNFの複合体の体細胞変異と協調していることが示唆された。総合すると我々の結果は、バーキットリンパ腫と他の胚中心B細胞リンパ腫との間で脱調節が異なる重要なB細胞経路では、体細胞変異、DNAメチル化および転写制御の間に密接な関係があることを実証するものである。

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