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閉経年齢:加齢による生殖機能低下と、視床下部におけるシグナル伝達、乳がん発症のしやすさ、BRCA1を介したDNA修復との関連が大規模ゲノム解析により明らかになる

Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3412

閉経のタイミングは不妊症や、乳がんをはじめとする疾患のリスクに大きな影響をもたらすが、その機序はほとんど解明されていない。このたび7万人の女性を対象に、自然閉経年齢(ANM)に関連するタンパク質コード領域の多様性を解析し、高頻度および低頻度バリアントを同時に同定したので報告する。この解析で、44のゲノム領域に高頻度バリアントを同定した。そしてそのうち2領域には、大きな影響力を持つ希少ミスセンス対立遺伝子も存在していた。さらに、思春期遅発に関係する遺伝子内もしくはその近傍に、自然閉経年齢関連シグナルが多いことを見つけた。これは、生殖可能期間の開始と終了を分子レベルで結びつけた初めての知見である。また経路解析を行い、DNA損傷応答(DDR)遺伝子との重要な関連を明らかにした。例えば、さまざまな複雑形質と関連するBRCA1の高頻度コード領域バリアントを初めて同定した。さらにメンデル無作為化解析の結果は、遅い閉経年齢が高い乳がんリスクもたらすことを支持した(1年あたりのリスクのおよそ6%の上昇。P=3×10−14)。このことから、DDR機構の異常ではなく、長期間にわたる性ホルモンへの曝露が重要であることが考えられる。

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