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乳腺腫瘍:乳腺繊維上皮腫瘍のゲノムワイドな遺伝的基盤

Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3409

乳腺繊維上皮腫瘍は、良性の繊維腺腫から悪性の葉状腫瘍に至る、病態が多様な一連の疾患をまとめた呼称である。繊維腺腫や葉状腫瘍ではMED12変異が高い頻度で見つかっているが、一連の繊維上皮腫瘍における遺伝的変異の全容については依然として明らかになっていない。本論文では22の葉状腫瘍のエキソーム塩基配列決定、さらに100の乳腺繊維上皮腫瘍の標的配列決定を行い、3種類の体細胞変異パターンを見つけた。まず繊維腺腫と葉状腫瘍の両方において、MED12RARAの変異を高頻度で認めた。これは繊維上皮での腫瘍形成におけるこれらの変異の重要性を強調するものである。続いて、葉状腫瘍ではFLNASETD2KMT2Dに変異が生じていることが新たに判明し、これらの遺伝子変異の葉状腫瘍発生における役割が示唆された。最後に、境界および悪性葉状腫瘍では、上記以外に、さまざまながん関連遺伝子に変異が見つかった。RARAの変異はそのリガンド結合ドメインの一部領域に集中して生じており、RARAを介した転写活性機能を抑制し、RARAと転写コリプレッサーとの相互作用を亢進していた。今回の研究成果は、乳腺繊維上皮腫瘍についての分子レベルの発症機序、ひいては臨床的に可能な解釈についての手掛かりとなるものである。

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