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サルデーニャ:サルデーニャにおける低身長の原因となる低身長型バリアントとその選択

Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3403

本論文では、サルデーニャ島の住民6,307人を対象にした身長についての全ゲノム関連解析について報告する。 今回の解析は、塩基配列決定データを基に、希少バリアントおよび創始者バリアントの評価を行った。その結果、大きな効果を持つ2つのバリアントを同定した。1つのバリアントはGHRに新たな終止コドンをもたらし、サルデーニャで比較的高頻度で検出され(サルデーニャでは0.87%、それ以外では0.01%以下)、このバリアントがホモ接合性の場合には低身長を呈するラロン(Laron)症候群の原因となっていた。バリアントがヘテロ接合性の場合には、平均4.2cm(標準偏差が−0.64)の身長の低下が見られた。もう1つのバリアントはインプリンティングを受けたKCNQ1に存在し〔マイナー対立遺伝子頻度(MAF)がサルデーニャで7.7%、それ以外で1%以下〕、母方バリアントを引き継いだ場合には平均1.83 cm(標準偏差が−0.31)低くなった。さらにポリジーンスコアから、サルデーニャの住民では既存の低身長をもたらす対立遺伝子が、遺伝的浮動からの予想頻度を一貫して上回る頻度で存在することが示された。今回得られた知見は、サルデーニャで低身長に対する選択が起こっており、島に生息する大型動物が小型化すると提唱する「島効果」のヒトにおける例であるという解釈に矛盾しない。

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