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自閉症:自閉症発症に関わる大部分の遺伝的リスクは頻度の高い配列変化が担っている

Nature Genetics 46, 8 doi: 10.1038/ng.3039

遺伝的構造の重要な構成要素は、形質のばらつきに影響を及ぼす一連の対立遺伝子群である。 自閉症スペクトラム障害(本論文では自閉症と呼称する)における対立遺伝子群の実体は明らかになっていない。自閉症の発症リスクと関連付けられた各々の遺伝子はこれまで、まれなバリアント、特にde novo(新規)変異として同定されていた。このような知見から、まれに出現する変異が自閉症の対立遺伝子群で最も重要であると結論づける人たちもいた。ところが最近になって、疾患発症への個々の影響力は小さいが、頻度の高い配列の多様性が全体として相当な影響力を示すことが示された。ここで論争の的となっているのは、このような頻度の高い配列変化が、まれな変異と比較してどの程度の影響力を示すかである。今回、スウェーデン政府により収集された独自の疫学的標本を対象として、新たな評価方法によって狭義の遺伝率の総和と高頻度の配列変化の遺伝率を別々に求めた。そして得られたデータを別な標本の解析データと統合して、自閉症の遺伝的基盤に関していくつかの結論に達した。すなわち、自閉症の狭義の遺伝率はおよそ52.4%であり、自閉症発症の遺伝的リスクの大部分を担っているのは頻度の高い配列変化であることが判明した。まれなde novo変異は個々人の易罹患性に大きく関与していたが、易罹患性全体に占める割合(分散)は2.6%と、遺伝継承性の配列の場合と比べて低いことが分かった。

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