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乳腺繊維腺腫:エクソーム塩基配列決定によって同定された乳腺繊維腺腫に高度に頻発するMED12の体細胞変異

Nature Genetics 46, 8 doi: 10.1038/ng.3037

繊維腺腫は、30歳未満の女性において最も一般的な乳腺の腫瘍である。繊維腺腫患者8人由来の繊維腺腫細胞および全血の検体についてエクソーム塩基配列決定を行ったところ、MED12のみに、頻発性の体細胞変異が存在することが明らかになった。MED12は、メディエーター複合体サブユニットをコードしている。次に、これとは別の繊維腺腫患者90人の検体の標的塩基配列決定を行い、2番エクソンに、高い頻度で見つかるMED12の変異の存在を確認した(98の検体中、58で発見。59%)。この変異はおそらく体細胞性で、そのうち71%は44番コドンに生じていた。さらに、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクションにより、繊維腺腫で検出されたMED12変異は乳腺の間質細胞に存在し、上皮細胞にはないことを示した。また、MED12が変異型および野生型である繊維腺腫細胞の発現プロファイリングから、MED12変異がエストロゲンシグナル伝達および細胞外マトリックス構成の調節異常と関係があることが判明した。ここで、繊維腺腫のMED12の変異スペクトラムは、以前に報告された子宮平滑筋腫におけるMED12の変異スペクトラムとほぼ同一であったが、他の腫瘍ではこのような類似性は見られなかった。乳腺および子宮は、ともにエステロゲンの主要な標的組織である。以上の知見から、両組織に生じた良性腫瘍が、組織特異的で高頻度に見られるMED12変異の存在という、共通の遺伝的基盤を共有している可能性が示唆された。

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