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神経膠腫:びまん性内在性橋膠腫において頻発するACVR1の活性化変異

Nature Genetics 46, 5 doi: 10.1038/ng.2925

びまん性内在性橋膠腫(DIPG)は、橋腹部の非常に浸潤性の高い悪性膠細胞性新生物で、その脳内での位置のため、外科的切除が適さず、その結果、一般に臨床転帰は不良である。生存期間の中央値は9〜12か月であり、DIPGの小児患者における臨床試験では、十分な生存便益を示す化学療法薬も標的治療薬もない。本論文では、DIPG試料の21%に、I型アクチビン受容体セリン/スレオニンキナーゼをコードするACVR1遺伝子に頻発する活性化変異を同定したことを報告する。これらの体細胞変異(p.Arg206His、p.Arg258Gly、p.Gly328Glu、p.Gly328Val、p.Gly328Trp、p.Gly356Aspの置換をコードする)は、がんにおいてはこれまでに報告されていないが、先天性小児期発達障害である進行性骨化性繊維異形成症(FOP)の患者の生殖細胞系列において見られる変異と同一であり、また、BMP-TGF-βシグナル伝達経路を構成的に活性化することが示されている。これらの変異は、この不治の病になりかねない疾患の治療的介入のための新しい標的である。

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