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口腔微生物:中世のヒトの口腔における病原体と宿主免疫

Nature Genetics 46, 4 doi: 10.1038/ng.2906

石灰化歯垢(歯石)は、真核生物、真正細菌、古細菌の全ドメインやウイルスから生体分子を取り込み、数千年間保存している。本論文では、中世のヒトの口腔微生物叢の高分解能での分類学的特徴付けおよびタンパク質機能の特徴付けを行うとともに、口腔が局所性および全身性の疾患の両方に関係する細菌の貯蔵場所として長い間機能してきたことを実証する。これらは、我々の知るかぎり初めての報告である。我々は、(i)病的状態での中世のヒトの口腔微生物叢、(ii)40の日和見病原体、(iii)中世のヒトに関連する抗生物質耐性遺伝子推定、(iv)歯周病細菌タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)のゲノム再構築、(v)239の細菌タンパク質および43のヒトタンパク質(これにより、宿主の免疫因子、「レッドコンプレックス」細菌および歯周病の間の長期間にわたる関連を確認できた)、(vi)飲食物の供給源に適合するDNA配列、について特徴付けを行った。歯石は、直接年代測定が可能で、ほぼ遍在的に存在するので、病原体の活性、宿主免疫および飲食物の同時調査が可能であり、その結果、ヒトの進化をさかのぼって一般的疾患を直接研究できるという研究の展開が可能である。

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