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肝疾患:エキソーム全域関連研究から非アルコール性脂肪性肝疾患の感受性に関与するTM6SF2バリアントが同定される

Nature Genetics 46, 4 doi: 10.1038/ng.2901

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は最もよく見られる肝疾患である。NAFLDの分子基盤を解明するために、肝臓の脂肪含量についてのエキソーム全域関連研究を行った。3個のバリアント(遺伝子多様体)が、3.6×10−7のエキソーム全域レベルの有意水準で、肝臓の高脂肪レベルに関連していた〔3個のうちの2個は、NAFLDの確立された座位であるPNPLA3に存在し、残りの1個は、機能が未知の遺伝子TM6SF2に存在している(p.Glu167Lysをコード)〕。p.Glu167LysをコードするTM6SF2バリアントは、肝障害マーカーであるアラニントランスアミナーゼの血中濃度の高値、および3つの独立した集団において(n>80,000)、低比重リポタンパク質–コレステロール(LDL-C)低値、トリグリセリド低値およびアルカリホスファターゼ低値に関連していた。組み換えタンパク質を培養肝細胞に発現させた場合、野生型TM6SF2タンパク質に対して、Glu167Lys TM6SF2タンパク質の産生は50%低下していた。マウスにおけるアデノ随伴ウイルスが仲介する短鎖ヘアピンRNAによるTm6sf2のノックダウンは、肝臓のトリグリセリド含量を3倍に増加させ、また、超低比重リポタンパク質(VLDL)の分泌を50%に低下させた。まとめると、これらのデータは、TM6SF2機能が正常なVLDL分泌に必要であること、また、TM6SF2機能が障害されるとNAFLDの原因として関与することを示している。

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