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リンパ腫:縦隔原発B細胞リンパ腫とホジキンリンパ腫のPTPN1に頻発する体細胞変異

Nature Genetics 46, 4 doi: 10.1038/ng.2900

古典的ホジキンリンパ腫と縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBCL)は関連したリンパ腫であって、病理像、分子生物学的特徴、臨床的特徴に共通性がある。この論文では、全ゲノムおよび全トランスクリプトームの塩基配列決定により、PTPN1遺伝子に頻発するコード配列の体細胞変異を見つけたので報告する。変異は30例中6例(20%)のホジキンリンパ腫症例、9例中6例(67%)のホジキンリンパ腫由来細胞株、77例中17例(22%)のPMBCL症例、3例中1例(33%)のPMBCL由来細胞株で見つかり、ナンセンス、ミスセンス、フレームシフト変異から成り立っていた。PTPN1の変異は、脱リン酸化酵素の活性低下と、JAK-STAT経路の構成分子のリン酸化増加を来していることを証明した。さらに、ホジキンリンパ腫細胞株KM-H2においてRNA干渉によりPTPN1を抑制すると、下流のがん化標的分子の過剰リン酸化や発現過剰がもたらされた。我々の知見は、PTPN1の変異がリンパ腫発生の新しいドライバー変異であることを確立するものである。

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