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リンパ腫:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫における体細胞性RHOA変異

Nature Genetics 46, 2 doi: 10.1038/ng.2872

血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)は末梢性T細胞リンパ腫に分類される独立したサブタイプであり、臨床的には全身性リンパ節腫脹、および自己免疫疾患様の徴候を呈することが多い。さまざまな造血器腫瘍に共通して見られるTET2IDH2およびDNMT3A遺伝子変異が、AITLにおいても高頻度に認められることがすでに報告されていたが、このリンパ腫サブタイプに特異的な分子レベルの発症機序は明らかではなかった。本論文では、AITL症例の68%において、p.Gly17Valをコードする体細胞性RHOA遺伝子変異を認めたことを報告する。極めて興味深いことに、RHOA遺伝子変異を認める全症例において、TET2遺伝子変異を認めた。RHOA遺伝子変異は、腫瘍細胞にのみ存在していたが、TET2遺伝子変異は腫瘍細胞と腫瘍ではない血液細胞の両方に存在していた。RHOA遺伝子はさまざまな生物学的な事象を制御する低分子GTPアーゼをコードする。我々は、Gly17Val変異型RHOAが、GTPに結合せず、さらには野生型RHOA機能を抑制することを示した。これらの結果は、先行するTET2機能低下およびこれに引き続いて生じたRHOA機能低下が協調することにより、AITLという特異的な病態を引き起こす可能性を示唆している。

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