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2型糖尿病:膵島エンハンサーのクラスターには2型糖尿病リスクに関連する配列バリアントが豊富に存在する

Nature Genetics 46, 2 doi: 10.1038/ng.2870

2型糖尿病には3億人以上が罹患しており、重度の合併症や早死が引き起こされているが、原因となる分子機構はほとんど解明されていない。膵島機能不全は2型糖尿病の発症機序において中心的な存在であり、それ故、膵島におけるゲノム調節を理解することが、2型糖尿病の機構についての情報を得る上で有益と考える。そこで今回、ヒト膵島でのシス調節ネットワークの機能をマッピングして検討した。膵島特異的な遺伝子活性を生み出す膵島転写因子が標的とするゲノム配列を探したところ、そのような配列の大部分がエンハンサーのクラスターに存在し、物理的に三次元的なクロマチンドメインを形成していることが分かった。2型糖尿病や空腹時血糖に関連する配列バリアントが、このようなクラスターを形成する膵島エンハンサーに豊富に存在することを見いだし、また、DNA結合や膵島エンハンサー活性を破壊する形質に関連する配列バリアントを同定した。我々の研究は、膵島転写因子がエピゲノムと機能的に相互作用する仕組みを説明しており、また、膵島エンハンサーの調節異常が2型糖尿病の原因となる機構に関係することを示す系統的な証拠となる。

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