Technical Report

遺伝率:複雑形質の遺伝率を特徴付けるための混合集団の利用

Nature Genetics 46, 12 doi: 10.1038/ng.3139

最近、SNPの遺伝子型によって説明される遺伝率(h2g)の推定に進歩が見られるが、h2gと狭義の遺伝率の総和(h2)の推定値の間には大きな乖離がある。この乖離の説明としては、まれなバリアントの存在や、家系を基盤としたh2の推定値には、共有環境やエピスタシスによる過大推定があることが挙げられる。我々は、各SNPの遺伝子型の代わりに、各SNPの祖先型(local ancestry)で説明される遺伝率(h2γ)を最初に見積もることで、混合集団において非血縁個体間からh2を推定した。h2γ=2FSTCθ(1−θ)h2であることが分かった。このとき、FSTCは、原因座位での集団間の対立遺伝子頻度の差異の大きさ、θはゲノムワイドな祖先型の比率である。我々のアプローチは、エピスタシスあるいは共有環境によって引き起こされる偏りの影響を受けることがない。我々はこのアプローチを用いて、3つのコホートからなる2万1497人のアフリカ系米国人に見られる13の表現型を解析した。身長とボディマス指数(BMI)については、それぞれ0.55±0.09、および0.23±0.06のh2推定値を得た。これらの推定値は、これらおよび他のデータのh2g推定値より大きいが、家系を基盤とするh2推定値よりは小さいものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度