Letter

フロリゲン:フロリゲン経路の変異誘発によるトマトの作物生産性最適化

Nature Genetics 46, 12 doi: 10.1038/ng.3131

普遍的なフロリゲン開花経路に自然に発生した遺伝的多様性は、作物の栽培化に大きな進歩を生じさせた。しかし、作物の収量を最大化することができるような変異体は、自然個体群には存在しないと考えられる。本論文では、フロリゲン経路の複数要素の変異を選択して併用することにより、トマトの生産性が微調整および最適化されることを示す。圃場のトマトの葉が密生した有限成長の性質を抑制する化学的に誘発された変異をスクリーニングすることにより、フロリゲン遺伝子SINGLE FLOWER TRUSSSFT)の新たな弱い対立遺伝子1つと、「フロリゲン活性化複合体」のbZIP転写因子要素に影響する変異2つが分離された。ヘテロ接合変異を組み合わせることにより、開花シグナルの最適なバランスが特定され、それによって新たな半有限構造が生じて収量が最大化された。フロリゲン経路上の変異の利用による植物体構造および花の形成の改変は、作物の生産性を高めるための幅広いツールキットになると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度