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コヒーシン:Scc2-Scc4複合体はヌクレオソームのない領域を維持することで、姉妹染色分体間接着や転写調節に作用する

Nature Genetics 46, 10 doi: 10.1038/ng.3080

コヒーシン複合体は、姉妹染色分体の接着や転写調節をはじめとする、多くの染色体機能で中心的な役割を果たす。コヒーシンが染色体上に搭載(ロード)される過程は、コヒーシンローダーであるScc2-Scc4複合体によって制御されている。ところが、コヒーシン搭載部位を形成するクロマチンの領域がどのような特性を示すかについては、いまだほとんど明らかになっていない。本論文ではRSCクロマチンリモデリング複合体が、出芽酵母のScc2-Scc4を、ヌクレオソームを含まない広い領域へと向かわせて結合させ、コヒーシンローダーがそこを維持できるようにすることを示した。コヒーシンローダーもしくはRSC複合体の機能を欠損させると、ヌクレオソームの位置取り、遺伝子発現、姉妹染色分体の接着に関して同じような効果がもたらされることを見つけた。この結果は、局所的なクロマチン構造と染色体の高次構造との間に密接なつながりがあることを示している。今回の知見は、次の2つの重篤なヒト疾患間に類似性があることに関係している。すなわち、ヒトのコヒーシンローダーに生じた変化によって引き起こされるCornelia de Lange症候群と、ヒトのRSC複合体構成タンパク質の変化によって引き起こされるCoffin-Siris症候群である。両疾患は、これらのタンパク質の異常に関連してゲノム全体におけるヌクレオソームの配置が変化したことに起因する遺伝子発現の調節異常から発症する可能性がある。

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