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胎児性脳腫瘍:胎児性脳腫瘍のETMRにおいては、TTYH1とC19MCマイクロRNAクラスターとの融合が、脳特異的DNMT3Bアイソフォームの発現を引き起こす

Nature Genetics 46, 1 doi: 10.1038/ng.2849

多層性ロゼットを有する胎児性脳腫瘍(embryonal tumors with multilayered rosettes:ETMR)は、まれであるが致死的な小児脳腫瘍で、マイクロRNAクラスターのC19MCの高レベル増幅を特徴とする。本研究では、12例のETMR試料について、遺伝学的解析およびエピジェネティクス解析を統合した解析を行い、全症例において、C19MCのTTYH1への融合が、このC19MCマイクロRNA群の発現を引き起こすことを明らかにした。ETMR腫瘍、ETMR細胞株、ETMR腫瘍由来異種移植片は、他の腫瘍や正常組織とは異なる特異的なDNAメチル化パターンを示すことが分かった。そして、神経管発生の最初の数週間にのみ機能する選択的プロモーターに由来する、これまでには特徴が明らかになっていないDNMT3Bアイソフォームが非常に過剰に発現していることを検出した。転写解析および免疫組織学的解析から、C19MC依存的なDNMT3Bの脱調節が、RBL2(DNMT3B抑制因子であることが知られている)によって仲介されることが示唆された。培養細胞にC19MCマイクロRNA群を個々に導入すると、DNMT3Bの上方制御およびRBL2の下方制御が引き起こされた。本研究のデータは、ETMRにおいて、胎児性の脳特異的DNMT3Bアイソフォームにより仲介されるエピジェネティックな変化を介して、初期発生のプログラムが発がんに向けて再起動される可能性を示唆している。

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