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シロイヌナズナ:細胞レベルの形質についてのゲノムワイド関連研究によって同定されたシロイヌナズナArabidopsisの根の形成・成長に対する新たな調節因子

Nature Genetics 46, 1 doi: 10.1038/ng.2824

極めて高い解像度の配列情報が利用可能になり、多くの生物種におけるゲノムワイド関連研究(GWAS)が実施できるようになっている。こういった解析の大部分は、ヒト集団を対象に行われている。しかし、ヒトの場合には、GWASから同定された未知の遺伝子の機能的関与について実証することは簡単ではない。本論文では、モデル植物であるシロイヌナズナArabidopsis thalianaを用いて、細胞レベルの形質の高解像度共焦点顕微鏡による撮像、GWAS、 発現解析を同時に行い、細胞タイプの形成・成長に関わる形質に関連するゲノム領域の同定を試みた。その結果、新たなF-box遺伝子であるKUKを同定し、特性解析を行った。KUKは分裂組織および細胞長を調節していた。さらに、そのコード配列に生じた複数の多型が、根の形成・成長におけるKUK対立遺伝子に依存した自然変異の主な原因であることを明らかにした。今回の研究成果は、発生といった基本的な生物学的過程を担う遺伝子を同定する際に、細胞の形質を用いて行うGWASが有効であることを実証するものである。

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