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骨髄性悪性腫瘍:エキソーム配列決定から若年性骨髄単球性白血病におけるSETBP1およびJAK3の二次的変異が同定される

Nature Genetics 45, 8 doi: 10.1038/ng.2698

若年性骨髄単球性白血病(JMML)は、予後不良の難治性小児白血病である。大部分の症例でPTPN11NF1NRASKRASCBLを含む、RAS経路の遺伝子の体細胞性の変異あるいは生殖細胞系列の変異が見いだされるが、その他の分子論的な発症機序はほとんど解明されていない。JMMLにおける遺伝子変異を網羅的に明らかにすることを目的として、JMML症例13例について、腫瘍DNAと正常DNAの全エキソーム配列決定を行い、さらに8個の標的遺伝子については、症例92例の腫瘍検体を用いた詳細なDNA塩基配列決定を行った。JMMLでは、82症例(89%)において、RAS経路の体細胞性あるいは生殖細胞系列の変異が見られたほか、本腫瘍では少数の遺伝子変異しか検出されない(1検体あたり0.85個の非同義変異)という特徴が明らかになった。JMMLでは、SETBP1およびJAK3を標的とした遺伝子変異がしばしば認められることが示された。変異の多くは、サブクローンに見られることから、これらの遺伝子変異は白血病の発症にかかわるというよりも進展に関与する可能性が示されるとともに、変異を有する患者の予後が不良であることが示唆された。我々の知見はJMMLの発症機序および進展を理解する新しい手がかりになるものである。

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