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DNAポリメラーゼ:POLD1のポリメラーゼ活性部位におけるインフレーム型欠失は、リポジストロフィーを伴う、複数器官における異常を引き起こす

Nature Genetics 45, 8 doi: 10.1038/ng.2670

DNAポリメラーゼδδはDNA複製の際のラギング鎖のDNA合成に関与している。このDNA合成は、内在性の3'→5'エキソヌクレアーゼ活性のおかげで賦与される校正機能によって、高い正確さで行われる。そして、その触媒サブユニットをコードしているのがPOLD1である。POLD1のエキソヌクレアーゼドメインに作用するミスセンス変異によって、大腸がんおよび子宮内膜がんを発症しやすくなることが、最近になって明らかになっている。本研究では、POLD1に高頻度にみられる、コドン1個分のヘテロ接合性欠失について報告する。この欠失変異はポリメラーゼ活性部位に影響を及ぼし、DNAポリメラーゼ活性を完全に消失させた。ところが、3'→5'エキソヌクレアーゼ活性はわずかに損なわれる程度であった。この変異は、特徴的な、さまざまな器官における異常を引き起こしていた。例えば、皮下のリポジストロフィー(脂肪退縮)、聴覚消失、下顎骨形成不全、男性性腺機能不全があげられる。上記の知見は、遍在的に発現しているPOLD1ポリメラーゼの機能に障害が生じることで、ヒトでは予想外の組織特異的な影響が出ることを示唆し、また脂肪組織のホメオスタシス(恒常性)においてPOLD1の機能が重要な役割を果たしている証拠となる。

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