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悪性末梢神経鞘腫瘍:悪性末梢神経鞘腫瘍形成についての順遺伝学的スクリーニングから腫瘍形成を推進する新規の遺伝子や経路が明らかになる

Nature Genetics 45, 7 doi: 10.1038/ng.2641

悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)は、シュワン細胞系譜起源の非上皮性悪性腫瘍で、散発性あるいは、遺伝性症候群の神経繊維腫症1型と関連してみられる。MPNST発生の遺伝学的ドライバーを同定するために、形質転換関連タンパク質のp53(Trp53)機能を体細胞で欠損および/あるいは、ヒト上皮増殖因子受容体(EGFR)の過剰発現を示すマウスにおいて、Sleeping BeautySB)トランスポゾンを基盤とする体細胞変異誘発系を用いた。269個の神経繊維腫および106個のMPNSTについての一般的な挿入部位(CIS)の解析から、統計的に有意な数の頻発するトランスポゾン挿入が、それぞれ695部位および87部位で同定された。ヒトのデータセットとの比較から、これらの部位でのMPNST形成の新規および既知のドライバー遺伝子が同定された。CIS関連遺伝子のペアワイズ共起解析から、多くの協調的変異が同定された。これらの協調的変異は、Wnt/βカテニン、PI3K-AKT-mTOR、増殖因子受容体のシグナル伝達経路に豊富に存在している。さらに、Foxr2(forkhead box R2をコードする)を含む、いくつかの新規のがん原遺伝子を同定し、Foxr2がMPNSTの維持に関与するがん原遺伝子であることを機能的に実証した。

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