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循環器疾患:ATP1A1およびATP2B3の体細胞変異はアルドステロン産生腺腫と二次性高血圧を引き起こす

Nature Genetics 45, 4 doi: 10.1038/ng.2550

原発性アルドステロン症は二次性高血圧の原因疾患として最もよくみられる。自律性アルドステロン分泌の分子機構を探索するために、アルドステロン産生腺腫(APA)のエキソーム塩基配列決定を行った。9例のAPAのうち、3例においてATP1A1(Na+/K+ ATPアーゼαサブユニットをコードする)遺伝子、また2例においてATP2B3(Ca2+ ATPアーゼをコードする)遺伝子の体細胞性ホットスポット変異を同定した。これらのATPアーゼは副腎細胞に発現しており、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの恒常性を制御している。in vitroにおける変異型ATP1A1の機能研究では、ポンプ活性の消失が示され、カリウムに対する親和性がひどく低下した。培養副腎腺腫細胞についてのex vivoでの電気生理学的研究から、ATPアーゼが変化した細胞の異常な脱分極の証拠がさらに示された。集められた308例のAPAでは、ATP1A1に16個(5.2%)、ATP2B3に5個(1.6%)の体細胞変異が見つかった。このような変異のみられる症例は、変異のみられない症例よりも、男性が多く、血漿アルドステロン濃度が高く、カリウム濃度が低かった。まとめると、ATPアーゼ遺伝子ファミリーに属する2つの遺伝子の優性遺伝する体細胞変化が自律性アルドステロン分泌を引き起こす。

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