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エンハンサー:内在性レトロウイルスは胎盤で種特異性を持ったエンハンサー配列として機能する

Nature Genetics 45, 3 doi: 10.1038/ng.2553

哺乳類の胎盤は種間で際立った差異を示し、急速な進化上の多様化の歴史を示している。胎盤の進化を駆動した分子レベルの要因を知るために、マウスとラットの栄養芽層の幹細胞(TSC)での生化学的に予測できるエンハンサーを比較し、種特異的なエンハンサーが、内在性のレトロウイルス(ERV)により、ゲノム全体にわたり大きく増加していることを見いだした。これらのERVファミリーの1つ、RLTR13D5はたくさんのマウス特異的ヒストンH3リシンモノメチル化(H3K4me1)とヒストンH3リシン27アセチル化(H3K27ac)に関するエンハンサーとして働いており、機能的にはTSCの調節ネットワークを決めるコア因子であるCdx2、Eomes、Elf5を結合する。さらにRLTR13D5は、ラットの胎盤細胞でも遺伝子の発現を起こすことが示された。他の組織の分析から、種特異的なERVエンハンサー活性は通常、低メチル化組織に限定されていることが示され、ERV活性化を受けやすい組織は、そうでなければ活性化を受けない調節的な変異を受け入れることが示唆される。全体をまとめると、これらの結果は、ERVエンハンサーが、胎盤の発生の進化における高度の多様化の基盤となる機構の1つであることを示している。

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