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髄膜腫:SMARCE1の機能喪失変異が遺伝性疾患である多発性脊髄髄膜腫の原因である

Nature Genetics 45, 3 doi: 10.1038/ng.2552

成人の原発性中枢神経系の腫瘍の3分の1は髄膜腫である。まれに髄膜腫は複数個所に発生をみるが、それは神経線維腫症II型(NF2)の患者であることが通常である。家族性多発性脊髄髄膜腫でNF2変異を持たない相互に無関係な3人の患者についてエキソーム塩基配列解析を行った。このうち2人がSWI/SNFクロマチンリモデリング複合体サブユニットの遺伝子SMARCE1の機能喪失変異のヘテロ接合体であることを見つけた。これに加えて6人の脊髄性髄膜腫の患者のSMARCE1を調べたところ、さらに2人が機能喪失変異のヘテロ接合体であることを見つけた。SMARCE1変異を持つ患者からの腫瘍は淡明細胞サブタイプに属し、全例でSMARCE1タンパク質を欠損しており、腫瘍抑制遺伝子にメカニズムの上から一致をみた。我々の発見は多発性脊髄髄膜腫症が新しい独立した疾患単位であることを示すとともに、SWI/SNF複合体が髄膜腫ならびに淡明細胞組織型を示す腫瘍の病理発生上で重要な役割を果たすことを確立した。

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