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髄膜腫:髄膜腫のゲノム塩基配列決定により、腫瘍形成性のSMOAKT1の変異が同定された

Nature Genetics 45, 3 doi: 10.1038/ng.2526

髄膜腫は最も一般的な中枢神経系の腫瘍である。がん抑制遺伝子NF2はすべての髄膜腫のおよそ半分の症例で異常が認められるが、遺伝的変化の完全な臨床像はわかっていない。17例の髄膜腫に対して全ゲノムまたは全エキソン塩基配列決定を行い、さらに48個の腫瘍に対し、絞り込んだ領域の塩基配列決定を行い、体細胞遺伝的変化を同定し検証した。ほとんどの髄膜腫は、変異、遺伝子再編成、コピー数変異が、成人の他の腫瘍で報告されているものよりも少なく、単純なゲノムであった。しかし、いくつかの髄膜腫では、コピー数変異や遺伝子再編成のパターンがより複雑で、chromothripsis(染色体粉砕)をともなっているものもあった。43%の腫瘍で、NF2の局所的な不活性化がみられ、追加の8%の腫瘍ではエピジェネティックな修飾因子に変化がみられた。NF2に変化がみられない髄膜腫のなかには、AKT1(p.Glu17Lys)およびSMO(p.Trp535Leu)に発がん性の変異が頻発するものがあることがわかり、そしてこれらの経路の活性化が免疫組織学的に確認された。これらの変異には、治療の難しい頭蓋底の高グレードの腫瘍に存在していた。これらの研究結果は、髄膜腫の遺伝的変化の範囲を決め、治療ターゲットの可能性を見つけるのを導くものだろう。

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