Analysis

エピジェネティクス:クロマチンに記されたマークから、多因子疾患にかかわる配列の多様性を詳細にマッピングするために重要な細胞型が同定された

Nature Genetics 45, 2 doi: 10.1038/ng.2504

形質に関連した配列の多様体が調節領域を変化させるのであれば、それらは相当する細胞型のクロマチンマークに相当するはずである。しかし、数多くのクロマチンマークのうち、病気と関係のある細胞型を決定し、配列の多様体の詳細なマッピングを行うべきマークがどれかは、明らかでない。我々は、有益なマークは、細胞の表現型に特異的なものであるとの仮説を立てた。すなわち、同じ形質に関連するSNPは、同じ細胞型を示すマークと重なりやすいということである。15のクロマチンのマークを調べ、遺伝子の調節を活性化するマークは細胞型特異的であることがわかった。ヒストンH3のリシン4のトリメチル化(H3K4me3)は、最も細胞特異的(P < 1×10−6)にみられ、また遺伝子との近さより、その配列ととマークが共局在することによって制御されていた(P < 0.001)。H3K4me3のピークは、血清LDL値に関連する37のSNPが肝臓(P < 7×10−5)と、関節リウマチに関連する31のSNPがCD4+の調節T細胞(P=1×10−4)と、2型糖尿病に関連する67のSNPが膵臓の膵島細胞(P = 0.003)および肝臓(P = 0.003)と、また精神神経疾患にかかわる14のSNPが神経組織(P = 0.007)とそれぞれ重なっていた。本論文は、細胞特異的なH3K4me3のピークが、関連するSNPを高精度にマッピングし、原因となる配列の多様体を同定する上でいかに役立つかを示すものである。

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