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キュウリ:ゲノム多様性地図はキュウリの栽培化および多様性の遺伝的基盤についての手がかりとなる

Nature Genetics 45, 12 doi: 10.1038/ng.2801

日常的に食している果実は、栽培化(作物化)および育種の所産である。本研究では、このような果実の1つについて、およそ360万の遺伝子多様体を網羅するゲノム多様性地図について報告する。この地図は、世界中に広まった3,342アクセッションからサンプリングした115のキュウリ系統をディープリシーケンシングすることで作成された。比較解析から示唆されていることは、実を食する作物は穀粒を食する作物よりも、栽培化に際して狭いボトルネックを経過していることである。栽培化に伴う固定域の拡大(sweep)と推定されるゲノムの領域を112か所同定した。これらのうち1つには、キュウリの栽培化に必須の形質である苦みの消失に関わる遺伝子が存在する。さらに、栽培種間のゲノムレベルでの遺伝的多様性を調べ、βカロテンヒドロキシラーゼ遺伝子に自然発生による遺伝子多様体を見つけた。これを用いて、栄養価が亢進したキュウリの育種が可能になると期待される。今回明らかになったキュウリの進化過程におけるゲノムの変遷は、ゲノミクスで可能になる次世代育種の基盤になる。

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