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膀胱がん:膀胱がんにおいて頻発するSTAG2の不活性化は異数性には関連していない

Nature Genetics 45, 12 doi: 10.1038/ng.2799

尿路上皮膀胱がん(UBC)は、臨床的、病理学的および遺伝学的なレベルで異質性がある。腫瘍浸潤度(T)と悪性度(グレード)(G)は、転帰に関連する主な要因であり、患者の管理を決定する。発見段階のエキソーム塩基配列決定スクリーニング(n = 17)に続いて、発見された変異の保有率についてのスクリーニングを行い(n = 60)、UBCにおいて変異が見られる新しいタンパク質コード遺伝子を同定した。これらの遺伝子は、クロマチン修飾(MLL2ASXL2BPTF)、細胞分裂(STAG2SMC1ASMC1B)、DNA修復(ATMERCC2FANCA)に関与していた。コヒーシンのサブユニットであるSTAG2は、UBC〔主に進行度(病期)あるいは悪性度(グレード)が低い腫瘍〕において有意かつ一般的に変異あるいは欠失が見られ、また、STAG2発現の欠損は転帰の改善に関連していた。STAG2発現の欠損は染色体が安定した腫瘍に観察されることが多く、また、膀胱がん細胞におけるSTAG2のノックダウンは異数性を増加させなかった。STAG2を発現していない細胞にSTAG2を再び導入すると、コロニー形成の低下が引き起こされた。我々の知見は、STAG2が、異数性を防止する役割とは異なった機構を介して機能する、新しいUBC腫瘍抑制因子であることを示している。

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