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ヒストン修飾プロファイル:包括的クロマチンプロファイルにより小児急性リンパ性白血病でNSD2の変異を検出

Nature Genetics 45, 11 doi: 10.1038/ng.2777

エピジェネティックな制御異常はがんの特性として注目を浴びはじめている。我々はヒトがんでクロマチン全体にわたるヒストン修飾プロファイルを高情報量質量分析により解析する方法を開発した。Cancer Cell Line Encyclopediaからの115の細胞株に適用したところ、この方法により、明瞭なクロマチンの分子シグネチャーを検出することができた。その1つは、メチルトランスフェラーゼをコードするNSD2に転座を持ついくつかの細胞株において、ヒストン3のリシン36(H3K36)の脱メチル化が増加していることである。これまで未知であったNSD2のp.Glu1099Lys(p.E1099K)変異体が、転座のない急性リンパ性白血病(ALL)細胞株において、この分子シグネチャーを共有していることが分かった。この変異体の異所性の発現は、NSD2の過活性化に特徴的なクロマチンの分子シグネチャーをもたらし、悪性化を促進した。NSD2のノックダウンはNSD2変異細胞株の増殖を選択的に抑制し、NSD2変異を持つALL異種移植片のin vivoでの増殖を抑制した。1,000例を超す小児がんのゲノム塩基配列決定では、t(12;21) ETV6-RUNX1転座を持つALLの14%にNSD2のp.E1099K変異が見つかった。これらの所見は、NSD2が小児ALLの有望な治療標的であることを示すとともに、がんエピゲノムの機能的アノテーションの考え方を提供するものである。

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