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遺伝子発現:既知の病気と関連するドライバー座位と推定されるトランスに働くeQTLの系統的同定

Nature Genetics 45, 10 doi: 10.1038/ng.2756

病気と関連するSNPの下流の影響を調べることは簡単ではない。この問題を解決するため、5,311人のトランスフォーメーションをしていない末梢血サンプルを用いて、発現量的形質座位(eQTL)メタ解析を行い、2,775人で追試を行った。これまでにゲノムワイドの有意性で多因子疾患との関連が示された233のSNP(103の独立した座位)に対するトランスeQTLを、再現性をもって同定した。これらのSNPのうちのいくつかは、患者で発現が変化している複数の遺伝子に対しトランスに作用していた。すなわち、これまでに全身性エリテマトーデス(SLE)と関連するとされているrs4917014がC1QBと5つのI型インターフェロン反応性遺伝子の発現を変化させていた。これらの遺伝子はどちらもSLEの特徴とされている。深読みSAGE RNA塩基配列決定によって、rs491794がIKZF1の3'UTRの発現をシスに強く変化させていることが分かった。クロマチン免疫沈降とトランスに調節される遺伝子の配列決定解析により、IKZF1が原因遺伝子と考えられた。コレステロール代謝と1型糖尿病と関連する多型に関しても同様の現象が見られたことから、大規模eQTLマッピングが、疾患と関連する多くの多型の下流の影響を調べる上で洞察を与えてくれることが示された。

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