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発達障害:ATP1A3de novo変異は小児交互性片麻痺の原因となる

Nature Genetics 44, 9 doi: 10.1038/ng.2358

小児交互性片麻痺(alternating hemiplegia of childhood:AHC)は、希少な、重症神経発達症候群であり、片麻痺の反復的な出現と明らかな神経学的な症状を特徴とする。AHCは通常、散発性の疾患であり、発症原因は不明である。AHC患者7人とその非罹患の両親に対してエキソーム塩基配列決定を行い、患者7人全員のATP1A3de novo(新規)非同義変異を同定した。さらに、別のAHC症例98例のATP1A3を塩基配列解析したところ、ATP1A3変異が、少なくとも74%のAHC症例における発症原因であると考えられることが判明した。また、家族性AHCの場合において、1種類の、遺伝的に継承される変異を同定した。注目すべきは、AHC症例の多くが、7種類のATP1A3反復変異のうちの1種類で引き起こされており、この変異は患者36人で観察されたことである。急性発症型ジストニア‐パーキンソン症候群の原因となるATP1A3の変異とは異なり、AHCを発症させるATP1A3変異の場合には、ATP1A3タンパク質の発現量に変化はないが、ATPase(ATP分解酵素)の活性が低下していた。今回の研究成果は、AHCの主要な発症原因としてde novo ATP1A3変異を同定したものであり、またATP1A3に生じた変異に関連する臨床病型スペクトラムを拡大し、AHCの病態生理についての手がかりを与えるものである。

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