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レーバー先天性黒内障:レーバー先天性黒内障の原因であるNMNAT1の変異と網膜変性の新しい発病経路の発見

Nature Genetics 44, 9 doi: 10.1038/ng.2356

レーバー先天性黒内障(LCA)は失明をきたす網膜疾患で、生後1年以内に発病する。エキソーム塩基配列決定を用いて、ニコチンアミドモノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ1をコードしているニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)合成酵素の遺伝子NMNAT1の複数の変異を、LCAとLCA9座位との連鎖が最初に発見された家系を含むLCAの8つの家系で見つけた。注目すべきことは、NMNAT1の変異を持つ個体はすべて、黄斑部欠損、つまり網膜中心部(黄斑)の組織ならびに光受容体を欠くような重篤な変性症を持つことである。我々の研究で見つかった変異対立遺伝子によりコードされているタンパク質の機能的アッセイでは、NAD生合成におけるNMNAT1の酵素活性の低下とタンパク質分子の折り畳みが影響されていた。特記すべきこととして、傷害後の軸索の生存延長が見られる緩徐型ウォーラー変性(Wlds)マウスモデルの近年の解析では、NMNAT1が異所性に発現した場合には神経防護タンパク質であることが見つかっている。我々の知見はLCAの基盤になっている新しい発病経路を見つけ、内因性のNMNAT1機能不全とヒトの神経系疾患とを初めて関連づけるものである。

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