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トウモロコシ:トウモロコシの栽培と改良に関する比較集団ゲノム解析

Nature Genetics 44, 7 doi: 10.1038/ng.2309

植物の農業栽培と育種は、野生種を人類の要求に合うように根本的に改変する進化的実験であり、1万年にわたり続けられてきて、現在もなお続いている。トウモロコシではとりわけ驚くほどの形質転換がなされてきた。トウモロコシの進化に深くかかわる遺伝子を同定しようと研究者は何十年も探究を続けてきたが、こうした努力を行う際の研究者の視野は限られたものだった。本報告では、75の野生株、農産種、改良されたトウモロコシの系統の全ゲノムの塩基配列をもとに、現在のトウモロコシの進化の包括的な評価を報告する。農業栽培後、おそらく野生株の近縁種からの遺伝子移入による多様化の回復の根拠と、改良よりも農産化による強い選択のあった証拠が見られる。これまでに主な形態学的変化にかかわっているとされた遺伝子よりも、さらに強い選択のシグナルを持つ遺伝子をいくつか同定した。そして、トランスクリプトーム全体にわたる遺伝子発現のデータ解析から、トウモロコシの栽培と改良を通して、シスに作用する遺伝的多様性の除去に合致する証拠と、近代の育種では、高度に発現している遺伝子を標的とした遺伝子発現の有利さを増したと推測できる証拠を見つけた。

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