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遺伝子発現の調節:酵母ではヌクレオソームにとってあまり適切でない塩基配列を改変すると遺伝子発現を微妙に調節できるようになる

Nature Genetics 44, 7 doi: 10.1038/ng.2305

遺伝子発現の制御を行う調節領域内のDNA配列を正確に理解することは、深い意味を持つ重要な課題である。多くの研究は、転写因子の結合部位の調節的な役割に的をしぼっている。そこで本研究では、他の部位の転写への影響を調べた。ヌクレオソームに不適切な配列(nucleosome disfavoring sequences)、特に、真核生物のプロモーターに非常に広く分布しているポリ(dA:dT)配列について調べた。ポリ(dA:dT)配列の特質と空間的な配置を体系的に操作して作製した大規模プロモーターライブラリーに対して、プロモーター活性を測定し、これらの配列は転写に重要な影響をおよぼしていることを示した。これらの要素の操作を、さまざまな転写因子により調節されているプロモーターに対して応用すれば、転写因子の結合部位を改変することで達成されるよりもはるかに微細なレベルで、思う通りに遺伝子発現を調整できる一般的な遺伝的機構を提供できる。特にこれにより、調節コードの理解が促進されるとともに、求める遺伝子発現パターンを作り出せるプロモーターに改変できる可能性が示唆された。

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