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胆管がん:肝吸虫関連胆管がんのエキソーム配列決定

Nature Genetics 44, 6 doi: 10.1038/ng.2273

タイ肝吸虫(Opisthorchis viverrini)に関連する胆管がん(CCA)は、致死的な胆管がんで、この寄生虫がよく見られる地域では主要な公衆衛生問題になっている。本報告では、8個のタイ肝吸虫関連腫瘍とそれらに対応した正常組織の全エキソーム配列決定について報告する。我々は、サンガー配列決定法を用いて187遺伝子の206個の体細胞変異を同定および検証し、15遺伝子を選択して、さらにCCA患者46人(症例)において変異の頻度(保持率)をスクリーニングした。既知のがん関連遺伝子であるTP53(症例の44.4%で変異が見られる)、KRAS(16.7%)およびSMAD4(16.7%)に加えて、症例の14.8〜3.7%において関連が示唆される10個の新規遺伝子に体細胞変異を同定した。これらには、MLL3(症例の14.8%)、ROBO2(9.3%)、RNF43(9.3%)およびPEG3(5.6%)の不活性化変異、GNASがん遺伝子(9.3%)の活性化変異が含まれていた。これらの遺伝子には、(i)ヒストン修飾因子の不活性化、(ii)Gタンパク質シグナル伝達の活性化、(iii)ゲノム安定性の喪失と、広く3つの生物学的クラスに分類できる機能がある。この研究はタイ肝吸虫に関連するCCAに寄与する変異の全体像を理解する手がかりとなる。

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