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テロメア:保存度の高いテロメア維持構成因子1をコードするCTC1の変異はコーツプラス病関連疾患の要因となる

Nature Genetics 44, 3 doi: 10.1038/ng.1084

コーツプラス(Coats plus)病と称されるコーツ病の関連疾患はきわめて多くの症状が現れる疾患で、特に眼球、脳、骨、消化管に対して影響を及ぼす。本論文ではコーツプラス病が、進化の過程でよく保存されたテロメア維持構成因子1(conserved telomere maintenance component 1)をコードしているCTC1に生じた変異によって引き起こされることを示す。CTC1は、出芽酵母のテロメアキャッピングCST複合体を構成している異なる3つのタンパク質のうちの1つの、哺乳類におけるホモログ遺伝子である。シロイヌナズナArabidopsisCTC1変異株でテロメア構造に短縮化が見られ、 コーツプラス病と、先天性角化不全症を含むテロメア維持異常による疾患との症状が重複するという知見に一致して、コーツプラス病罹患者3人でテロメア構造が短縮しており、罹患者2人由来の細胞株においてγH2AX陽性細胞が自発的に増加していた。CTC1は、DNAポリメラーゼα/プライマーゼを活性化する、αアクセサリタンパク質(AAF)複合体の構成サブユニットの1つでもある。DNAポリメラーゼα/プライマーゼは、真核細胞のDNA複製を開始させることが判明している唯一の酵素である。このようにCTC1は、テロメアが完全な構造を維持するために必須ではあるが、テロメアだけに特化したものではないDNA代謝(DNAの複製と修復)における機能を有する可能性がある。

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