Analysis

稀な変異と集団の階層化:集団の空間的な構造による希少および一般的な変異の影響のしかたの違い

Nature Genetics 44, 3 doi: 10.1038/ng.1074

技術の進歩と大規模なプロジェクトの組織化によって、検出力の高いゲノムワイド関連研究を行うことが可能になり、稀な変異が複雑な形質や疾患にどう影響するかを明らかにできるだろうと期待されている。しかし、集団の階層化が関連研究に影響を及ぼすことがわかっている一方で、階層化を制御するために開発されてきた方法が、稀な変異に対しても有効かどうかはいまだに確かめられていない。本報告では、稀な変異が一般的な変異とは系統的に異なる階層化を示し、概して影響がより強く出ること、また、既存の手法で補正する必要は必ずしもないことを明らかにした。同じ処理を行っても、負荷ベースのテストではスコアの増加率はより高いものとなった。また、実際に関連している変異におけるシグナルがわかりにくくなりうることが示された。さらに、ライトの近交係数FSTが小さい場合であっても、稀な変異では地理空間的な集団の階層化がおこりうること、ただし、対立遺伝子頻度にもとづく測定による対立遺伝子の共有が、局所的な階層を明らかにしうることがわかった。この結果は、複雑形質の遺伝的な解析における空間的情報の収集と統合の重要性を強調するものである。

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