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線虫の進化:染色体規模の選択的スウィープ(周辺領域の多様性の消失)は線虫のゲノムの多様性を作り出す

Nature Genetics 44, 3 doi: 10.1038/ng.1050

線虫Caenorhabditis elegansは分子、細胞、発生学研究の中心にあるが、この研究のほとんどすべてはC.elegansの単一の株を使って行われてきた。この種の集団ゲノム学や進化の歴史についてはまったく知られていない。世界中から集められた200種のC.elegans野生株について、高処理能力の標的塩基配列決定法を使い遺伝的な変種を検討し、41,188個のSNPを同定した。とりわけ、C. elegansのゲノムの差異には6つの染色体中の4つについて共通に見られるハプロタイプが主だっており、それぞれは数メガベースにわたっていた。集団遺伝学のモデルでは、このパターンは染色体規模の選択的スウィープ(周辺領域の多様性の消失)により、世界中の変種の減少が見られた。少なくともこれらのスウィープの1つは、おそらくここ最近数百年の間に起こっている。こうしたスウィープは、人類の活動の結果であろうと推測され、世界中のC.elegans集団は、この近年に抜本的に再構築されてきたと考えられる。

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