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クロマチン:線虫Caenorhabditis elegansではsiRNAの
増幅により、世代を超えて標的配列に特異的な
ヒストンH3の9番目のリシンのメチル化フットプリントが作り出される。

Nature Genetics 44, 2 doi: 10.1038/ng.1039

人為的に導入した二本鎖RNA(dsRNA)は、標的としたmRNAの安定性とクロマチン構造のレベルの両方に関して、相同性に依存した作用を発揮することが知られている。RNAiで処理した動物モデルとしてC. elegansを使って、dsRNAで標的したクロマチンへの作用の一般性と全体像と持続性とともに、RNAi装置の構成成分に対するそれらの依存度を調べた。ゲノム全域の高分解能のクロマチンプロファイリングを行い、さまざまな遺伝子のセットが誘導されて、部位特異的なヒストンH3の9番目のリシンのトリメチル化(H3K9me3)が起こり、dsRNAと相同性を持った場所から数キロベースにわたるフットプリントと、C. elegansゲノム中の他の20,000個の遺伝子と標的部位が十分に見分けられるような特異的な場所で変化が起こっていることを見つけた。この応答反応の遺伝解析から、RNAi作用中に2次的なsiRNAを作り出す因子が、クロマチンへの効率よい標的に必要なことが示唆された。一時的な解析では、いったんdsRNAで標的とされたH3K9me3は、消失後少なくとも2世代の間はdsRNAの存在なしでも持続されうることが明らかになった。これらの結果からdsRNAで標的されたC. elegansのクロマチンの修飾は、プログラム可能で、世代という境界を越えて持続可能な準安定的な状態を決める部位特異的な応答であることが示唆される。

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