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膵炎:CLDN2およびPRSS1-PRSS2座位の頻度の高い遺伝子多様体によって、アルコール性散発性膵炎のリスクが変化する

Nature Genetics 44, 12 doi: 10.1038/ng.2466

膵炎は、複雑な、進行性破壊性炎症疾患である。アルコールが主要な原因であると長らく考えられていたが、PRSS1CFTRSPINK1にまれに生じる遺伝子多様体が膵炎リスクに関連していることが明らかになってからは、遺伝的要因が注目されている。本論文では、2段階のゲノムワイド関連解析(第1段階の解析:症例676例、対照4,507例。第2段階の確認解析:症例910例、対照4,170例)を行うことで、ゲノムワイドな有意性を示す2つの関連がPRSS1-PRSS2P < 1 × 10−12) およびX染色体連鎖型CLDN2P < 1 × 10−21)に同定され、また関連の再現性が確認されたことを報告する。PRSS1における遺伝子多様体はおそらく、主要なトリプシノーゲン遺伝子の発現を変更することで疾患のなりやすさに影響を及ぼす。CLDN2のリスク対立遺伝子は、クローディン2の膵腺房細胞における局在異常に関連している。CLDN2の遺伝子型がホモ接合性(男性ではヘミ接合性)である場合に、発症リスクは高くなる。そして、こういった対立遺伝子の状態と、飲酒が重なることでリスクが上昇する。上記の結果は、アルコール性膵炎が男性において高頻度で発症する理由(女性のホモ接合の出現頻度が0.07であるのに対して、男性のヘミ接合の頻度は0.26)を、ある程度説明するものと期待される。

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