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筋ジストロフィー: SMCHD1変異とFSHD発症につながるD4Z4対立遺伝子が2遺伝子性で遺伝することにより顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー2型が引き起こされる

Nature Genetics 44, 12 doi: 10.1038/ng.2454

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)は、4番染色体にあるD4Z4マクロサテライト列に生じたクロマチン構造の弛緩と、このD4Z4領域にコードされているDUX4の骨格筋における発現を特徴とする。FSHDのうち多くを占める病型であるFSHD1は、常染色体優性の遺伝様式をとり、D4Z4列の短縮(繰り返し数の減少)によって発症する。一方、D4Z4列の縮小が観察されないFSHD2の場合は、遺伝的決定因子や遺伝様式は明らかになっていなかった。本論文では、18番染色体上のSMCHD1〔structural maintenance of chromosomes flexible hinge domain containing 1(染色体構造維持可動ヒンジドメインタンパク質1)をコードしている遺伝子〕の突然変異がSMCHD1タンパク質の量を低下させること、さらに、複数のヒト家系において、この変異が、ゲノム規模で起こるD4Z4のCpG低メチル化とともに遺伝的に分離することを示す。 FSHD2は、SMCHD1変異と、4番染色体上のD4Z4列のサイズが正常で、かつDUX4が発現可能なハプロイドの、両方を備えた個体に発症する。骨格筋におけるSMCHD1量が低下すると、D4Z4列の短縮が起こらなくてもDUX4発現が生じる。今回の研究成果はSMCHD1が、エピジェネティックな修飾によって発現に差が生じたD4Z4エピアレル(エピ対立遺伝子)の当該修飾因子であり、FSHD2ならびにFSHD2以外のエピジェネティックな調節の影響下にある疾患を発症させる遺伝的決定因子であることを、明らかにするものである。

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