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進化:マイクロサテライトに基づいた、ヒトの変異に関する直接解析

Nature Genetics 44, 10 doi: 10.1038/ng.2398

突然変異は進化を推し進める原材料であるが、特性解析を直接行うのは困難とされていた。本論文では、新たな変異を検出するために現時点における最大規模の解析を行い、すなわち、アイスランド人85,289人を対象に2,477のマイクロサテライトを分析し、2,058の生殖細胞における遺伝子変異を発見したことを報告する。マイクロサテライトにおける突然変異発生率の、父方対母方の比は3.3であった。また変異率は、父親の年齢が20歳から58歳になると倍増していたが、母親の場合には年齢に無関係であった。マイクロサテライト対立遺伝子が比較的長ければ、変異をより多く生じやすく、短くなる傾向がある。ところが対立遺伝子が比較的短い場合には、反対に長くなる。上記の実験結果をもとにマイクロサテライトの進化モデルを構築し、ゲノム配列およびマイクロサテライトのデータが明らかになっている個体に適用した。このモデルを用いることで、進化の鍵となるパラメータの推定が、化石記録に対する較正をすることなく可能になる。配列変異率は1世代1塩基対あたり1.4〜2.3 × 10−8(90%信頼限界)であり、ヒトとチンパンジーの種分化は370万年から660万年であると推定される。

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