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遺伝子発現:双生児の多臓器に影響を与えるシスおよびトランス調節効果のマッピング

Nature Genetics 44, 10 doi: 10.1038/ng.2394

塩基配列の違いに基づいて現れる遺伝子発現の変化は、病気のリスクを増加させる鍵となる。発現を制御するシス配列にみられる頻度の高い多型は、多くの発現量的形質座位(eQTL)研究によりマッピングされてきた。しかし、これらは概して、血縁関係のない個人間の1つの組織においてのものである。本研究では、多数の一卵性および二卵性双生児を対象に、多臓器にわたって発現を統合的に解析した。それにより、遺伝子発現に与える遺伝的(シスとトランス)効果および非遺伝的効果を系統的かつ詳細に分析した。同祖性の評価で調べたところ、発現に影響するシス効果で遺伝継承されるもののうち、少なくとも40%は、頻度の高いシス多型配列では説明がつかないことがわかった。このことは、低頻度およびまれな配列変化が、転写制御および複雑な形質の感受性の両方に寄与していることを示している。遺伝的に継承される遺伝子発現のうちかなりのものが、構造遺伝子に対してトランスに働く配列によるものであることが明らかになり、主として組織特異的に働き、多くの発現を調節している可能性のある、再現性が認められるトランス配列の多型をいくつか同定したので報告する。

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