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大腸がんとメチル化:大腸がんにおいてDNAの局所の過剰メチル化と長距離にわたる低メチル化がみられる領域は核のLAD(DNAが核ラミナに結合する領域)に一致する

Nature Genetics 44, 1 doi: 10.1038/ng.969

DNAメチル化の広範囲にわたる変化は、がんに共通しており、腫瘍抑制因子遺伝子の転写サイレンシングを介して発がんに寄与する可能性がある。ゲノム規模の研究から、このような変化についての重要な手がかりが得られているが、それらの研究ではCpG島あるいは遺伝子プロモーターを中心に研究が行われている。本論文では、全ゲノム規模で重亜硫酸ナトリウムを用いた配列決定(bisulfite-seq)を行い、単一塩基対の解像度でヒトの原発性大腸腫瘍とその周辺の正常大腸組織の包括的なプロファイルを作成した。腫瘍において局所の過剰メチル化がみられる領域は、主にCpG島に位置しており、長距離にわたる(> 100 kb)低メチル化がみられる領域内に集中していた。このような低メチル化ドメインは、ゲノムのほぼ半分を占めており、ヒト細胞株で後期複製および核ラミナへの付着に関与する領域と一致していた。我々は、25の異なる大腸腫瘍および一致する周辺組織において、これらのドメイン内で過剰メチル化と低メチル化が同時に生じていることを確認した。我々は、がんにおけるDNAメチル化の広範囲にわたる変化が、核内のクロマチンの三次元構成によって調整されるプログラムのサイレンシングに関係すると提案する。

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