Letter

骨髄疾患:骨髄異形成症候群においてスプライシング因子U2AF1に頻出する変異

Nature Genetics 44, 1 doi: 10.1038/ng.1031

骨髄異形成症候群(MDS)は造血幹細胞の異常による疾患であり、抗がん剤抵抗性の二次性急性骨髄性白血病(sAML)へと進行することが多い。sAML患者の検体を全ゲノム塩基配列決定してゲノムをまんべんなく広範囲にわたってスクリーニングし、体細胞変異を検出した。同時に、対応するMDS検体においてこれらの変異を含む領域の遺伝子型を同定した。本論文では、U2AF1の34番アミノ酸Ser(Ser34)のコドンに生じているミスセンス変異が、de novo MDS患者150人のうち13人(8.7%)に出現していることを明らかにし、さらに、この変異に伴ってsAMLへの移行のリスクが増大することを裏付ける証拠を見つけた。U2AF1はU2補助因子タンパク質の1つで、イントロンの3'末端にあるスプライス受容部位ジヌクレオチドAGを認識している。ここで、このミスセンス変異によって変化するU2AF1の部分は保存度の高いジンクフィンガー領域である。in vitroレポーター遺伝子の発現解析から、変異型U2AF1によってスプライシングおよびエキソンスキッピングが促進されていることがわかった。今回新たに見つかった、出現頻度の高いU2AF1の変異は、mRNA前駆体(一次転写産物)のスプライシングを変化させており、これがMDSを引き起こしている機序ではないかと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度