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発達遅滞とコピー数多型:発達遅滞についてのコピー数多型存在率地図

Nature Genetics 43, 9 doi: 10.1038/ng.909

発達遅滞の原因となる遺伝学的異質性を理解するために、知的障害とさまざまな先天異常の見られる小児15,767人(症例)と非罹患成人の対照8,329人のコピー数多型(CNV)を比較した。これらの小児に見られる疾患のおよそ14.2%が400 kbより大きいCNVによって引き起こされると見積もられる。頭蓋顔面異常と心血管異常の見られる小児には、てんかんあるいは自閉症の見られる小児と比較した場合に、より多くのCNVが観察された。病因となるCNVが59個同定され、その中には、新規あるいはこれまでに弱い関連しか報告されていないCNVが14個ある。またこれらのCNVについて、17q21.31微小欠失症候群をはじめとする、いくつかのゲノム疾患について重要な区間を絞り込み、遺伝子量の影響を受ける940個の候補遺伝子を同定した。また、アレイを使った大規模な診断用のデータセットが増加しつつあるが、このデータセットを用いて、エキソンに影響を与える小規模CNVを便宜的に発見する方法も開発した。エキソームおよびゲノムの配列決定と組み合わせることで、発展し続けるCNV存在率地図は、発達遅滞、知的障害および自閉症スペクトラム障害の遺伝学的基盤を解明するのに重要となるだろう。

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